年始のRegional Scrum Gathering Tokyo(以下RSGT)が終わりました。
開催から3週間経ったので、あらためて個人的な運営目線の話をつらつら書いておこうと思います。
ハイブリッド開催
RSGTはコリドートーク*1を大切にしているイベントなので、人が集まってギャザる*2ことが第一なわけです。
COVID-19感染拡大の状況においてもっとも避けるべき密な交流が、このギャザることとぶつかってしまうことになりました。
会としてこれを押し進めるわけにもいかず、いろいろと検討を丁寧に十分に繰り返した結論として、ハイブリッド開催に踏み切りました。
その際、アルコール消毒や検温は当然のこと、いくつか特徴的な施策を挙げると、会場キャパ50%で定員を設計すること、登壇者と聴講者の距離を確保すること、ネットワーキングパーティー(ビュッフェ)は中止すること、現地が盛り上がりオンラインの人はそれを外から眺めるだけという構図は避けできる限りシームレスにギャザれること、を考えました。
結果として、通常のチケットでもオンライン参加を可能にし、その他にオンライン参加専用のチケットを用意し、ほとんどの講演は会期後にYouTube配信すること*3を事前にアナウンスしました。
狙いとしてはこんなところです。
- 現地が定員いっぱいになっても安全な状態を確保する
- せっかくチケットを手に入れたからには絶対現地に行かなきゃという人を減らす
- 地方から参加したい人に機会提供をする
- できるだけ現地参加する意思のある人に現地参加チケットが回るようにする
- チケット争奪戦の激化を抑える *4
現地参加人数が読めないことでお弁当やコーヒーが余るという心苦しい点、余ったお弁当を何個も食べてお腹が苦しい点はありましたが、乱暴な言い方をすれば会の運営に経済的な影響はありません。
運営としては、アジャイルの心をわかっているであろうRSGT参加者は、自己組織的に参加を判断し、適切な行動を取ってくれるだろうというところを信頼していました。
その結果の成功だったと思っています。
データ
- 基調講演は3件
- 公募セッションは40件
- スポンサーセッションは13件
- スポンサーは26社 *5
- チケット取得者は438人
- Discord参加者は417人 *6
- 現地参加者は150人 *7
- 現地参加のみでDiscordに参加しなかった人は11人 *8
新しい試み
新しいといっても、前回のRSGT2020が終わってから運営スタッフが重複するカンファレンスで実験してきたことの集積だったりもします。
- Discordサーバに参加者向けの場を作り、イベント開催1ヶ月前ぐらいから参加者を呼び込んで温めておく(スクフェス大阪以降のパターン)
- 現地登壇状況をできるだけ高いクオリティで配信するために映像会社と契約(スクフェス三河パターン)
- 現地登壇状況をそれなりのクオリティで配信するためにスタッフで準備(品川アジャイル大活躍)
- 自宅登壇でも現地参加者も楽しめるようにZoom画面を現地スクリーンに大写し
- Coaches ClinicやOSTはオンライン主体とし、オンライン専属スタッフも配置
- スポンサーブースに人がいないことの代わりとしてスポンサーセッションを急遽実施
肝心の内容
セッションスライドや参加した人のレポートなどはここからどうぞ!
これをまとめる熱意のある人が参加者にいるってすごくないですか。
qiita.com
個人的な驚きと喜び
運営の想像をはるかに超えて実現されたものがありました。本当は書ききれないぐらいあるけれど、今ぱっと思いつくのはこのぐらいです。
- 野中郁次郎御大、運営の度重なる心配とオンライン提案をものともせず強い意思で現地参加された
- 会場のソラシティ運営の方がめちゃくちゃ協力的で楽しんでくれてた
- 参加者有志*9によって"廊下"が爆誕した
- スポンサーセッションがありがちな宣伝セッションとかでなく会の趣旨を理解してくださっていたためか評判がよかった
- 初めてボランティアに参加してくれた人も楽しんでくれてた?と思う
反省
- 初めてのことや調整事項が多すぎて細かいところに気が回らなかった
- 疲れないぞというモットーなのに疲れてしまった
- 準備もてんてこまいなので一部独断的に進めたことがありそう
- 当日運営に気を取られすぎて現地を盛り上げる余裕が出たのが遅かりし3日目 *10
- ここ数年ずっと非日本語話者を歓迎して日本語話者にも協力を仰いできたのにオンラインだと日本語ローカルになってしまったなぁ*11
感謝
現地オンラインどちらの会場でもギャザってくださったすべての方々がRSGT2021を実現してくれたことに感謝します。 スポンサー、スピーカー、ボランティア、参加したすべての皆さまです。
ハイブリッド開催を想像以上のクオリティで実現できたのはスクフェス大阪三河札幌と実験してきたスタッフはもちろんのこと、よなよなどっかのDiscordで勉強会やったりゲーム配信やったりおしゃべりしたりしてきた皆さん、オンライン研修や仕事のために機材に投資してきたスピーカーの皆さん(時には個人的興味で過剰投資した方もいるでしょう笑)、普段の仕事でストレスをためながらも少しずつリモート慣れできてきていたすべての人たち、年末年始の行動や体調に気をつけて適切なふるまいを身につけて来場してくださった人たち、いろんな人たちのおかげだなーと思いました!
6月のスクフェス大阪の基調講演で「カンファレンスは実験の成果の自慢大会にしたい」と言ったけど、登壇者だけでなく、参加者全員の日々の実験や経験が結実して、make this happenしたんだなーと感動しております。
正直、オンサイト会場があった手前これまで大成功は宣言できなかったけど*12、いまここに、おそらく前例のないハイブリッド開催のカンファレンスの成功を宣言しておこうと思います。
ご協力くださった皆さま、どうもありがとうございました!
次回は2022年1月5日〜7日です。
どんな開催形態になるかわかんないけど、来年も楽しくなるといいね!
*1:カンファレンスに参加している人同士がセッションを聴講するだけでなく、"廊下"やそこここで自然発生する立ち話のこと
*2:運営が言い出しいつからか浸透したRSGT用語で、コリドートークをしたり知見を持ち寄ったりと交流することで"わいわいしている"こと
*3:CfPの採択受諾にYouTube配信されることへの受諾もありました
*4:講演を聞ければよくて、お金を出してまでギャザらなくていいやという人はYouTube配信で満足するのでは?という仮説
*5:Title SponsorのScrum Allianceを含む
*6:すでにDiscordサーバにいた一部の運営アカウント数名は覗く
*7:EventbriteのQRコードスキャンによる現地チェックイン人数
*8:つまり従来の参加方法
*10:クソデカ大声の挨拶につながる
*11:Regionalだからいいんだけど言語障壁が高すぎる。。
*12:体調を崩されたという連絡などは入っていませんし、来場者に利用をお願いしたCOCOAからも通知はありませんでした